3ポイントの重要性が増しているNBA

かつてのNBAにおいては、3ポイントシュートは今ほど主流の戦略ではありませんでした。

NBAが創設された1940年代から1970年代までは、3ポイントライン自体が存在しておらず、得点の大半はペイントエリア内でのシュート、リバウンド、そしてボディコンタクトを伴うフィジカルなプレーによって生まれていました。

1979年に初めて3ポイントラインが導入されても、その影響は当初限定的で、チーム戦略においても重視されることは少なかったのです。

この時代の主流は、ペイントエリアを支配するビッグマンや、パスとディフェンスで攻守のバランスを保つことができる選手たちでした。

また、シュートの選択肢としても3ポイントはリスクが高いと考えられていたため、選手やコーチ陣からは敬遠されがちでした。

多くの得点がペイントエリアやその周辺で決められる中、3ポイントを放つことは「確実な得点」を狙う手段としてはあまり評価されていなかったのです。

そのため、この時期のチーム編成やトレーニングもインサイドプレーを中心に展開され、シュートの成功率よりもフィジカルな強さやリバウンド力が求められる傾向にありました。

現代のNBAでは、3ポイントシュートの重要性が劇的に高まり、チーム戦略の中心に位置づけられることが一般的になっています。

特に2010年代後半から、3ポイントの影響力が急速に拡大し、プレースタイルに革命をもたらしました。

今では、スリーポイントシュートは単なる追加点としてではなく、チームの戦略そのものを大きく変える手段と見なされるようになっています。

3ポイントが主流となる背景には、選手たちのシュート精度向上とともに、スペーシングを活用した効率的なオフェンスの追求があります。

近年のチームは3ポイントラインの外からのシュートで確実に得点するため、個々の選手には高い精度と素早いリリーススピードが求められるようになりました。

これにより、ガードやフォワードなどの選手たちは、外からのシュート力を高めるためのトレーニングに重点を置き、ボディバランスやシュータースキルを強化するようになっています。

また、3ポイントシュートが持つインパクトは、試合の流れやリズムにも大きな影響を及ぼします。相手チームにスリーポイントシュートが決まると、得点差が一気に広がり、試合の様相が変わることも珍しくありません。

こうした要因により、3ポイントは現代NBAにおいて決定的な武器として多用されており、特にゴールデンステート・ウォリアーズなどの成功は3ポイント重視の戦術を一層際立たせました。

NBAの戦術は、選手たちのスキルや戦略の進化に合わせて常に変化し続けています。

現代のNBAでは、3ポイントシュートが主要な得点源であると同時に、ディフェンス戦術の変化も促進しています。

多くのチームは、3ポイントシュートを効果的に防ぐために、より速いローテーションやゾーンディフェンスの活用を取り入れるなど、守備の面でも進化が見られます。

3ポイントを重視することで、コートの幅を最大限に活用し、得点チャンスを増やす工夫が行われているのです。